ディスクレビューは実に4年ぶり(!)になるみたいです。一旦声優分だけここ最近のやつを適当にピックアップしていきます。
Empathy / 上田麗奈
昨年3月リリースのアルバム。
LUCKY TAPESのKai Takahashiが提供した(作詞は上田麗奈本人)「アイオライト」、ORESAMAが提供した「あまい夢」の序盤2曲はどちらも春らしくて心地よく聴ける。2組のアーティストが作るメロディーに上手く声質がハマっている。
この感じが最後まで続けばいいなと思っていたら、そうでもなかったのでちょっと残念。5曲目とか無理やり高音を出しているかのような印象だった。表現のためと言われればそれまでだが、アルバムとしてのまとまりは何とも・・・。
「ティーカップ」はピンポイントで何度も聴きたくなる。
STYLE / 鬼頭明里
昨年6月リリース。リード曲の「23時の春雷少女」はご存じ田淵智也氏が作詞・作曲で実家のような安心感。
全体的にバンドサウンド全開な一方で、あまりにもライブ*1でパフォーマンスすることを意識しているかのような作りが鼻につく。ライブでもってアルバムを完成させるのは結構なことだが、普段の日常生活の中で聴くにはやや胃もたれしてしまう。
clearly / 井口裕香
昨年8月に4年越しでリリースされた3rdフルアルバム。だいぶ間が空いただけあり既存シングル曲7曲+新曲7曲という収録形態。シングル曲は粒揃い。
一発目の「アクアステップ」はまさに『clearly』のテーマでもある"透明感"を標榜している楽曲で流石kz(livetune)と言ったところ。というか遂にkzが参戦しましたか。
しかし、アルバムを通して前作『az you like…』(2016年発売)よりも肩の力が入りすぎているのかも。本人が目指している"近所のお姉さん的な存在"からは遠ざかっている気がしないでもないが・・・。
アルバムの批評とは直接関係はないが、初回生産限定盤はBlu-rayに過去楽曲のMV全収録+台湾ご褒美旅行映像+ジャケット撮影メイキングでも7700円は高すぎる。7700円って、何かのライブ映像をフル尺収録してトントンぐらいの気持ちじゃないと。
NiNa / 尾崎由香
「余白」がシンプルに良い曲すぎる。歌い出しからの期待感が最後まで続く感じ。
「オトシモノ」のときもそうだったがこの人と40mPの親和性は高いのかもしれない。アルバム締めの曲は「君は知らない」じゃなくてこっちにしてリスナーに大団円を迎えさせてもよかったと思う、個人的に。
SUNFLOWER / 斉藤朱夏
『SUNFLOWER』と銘打っているだけあり本当に太陽のような明るい一枚。かと言って勢いで押し切ろうとすることもなく、ほど良いパワフルさ。
畑亜貴先生が作詞した「月で星で太陽だ!」でド直球ストレートを受けたと思ったら、すかさず「親愛なるMyメン」で一際異彩を放つラップタイムが始まるので面白い。DJみそしるとMCごはん恐るべし。
green diary / 中島愛
5thアルバム。「水槽」「髪飾りの天使」のマスターピース2曲もこのアルバムの中に組み込まれることでまた違った印象に聴こえる。
「メロンソーダ・フロート」「ハイブリッド♡スターチス」は往年のアイドルソングを彷彿とさせる・・・というかもう完全にアイドルソングをやっている。そちらの方面への造詣が深い彼女だからこそできた芸当。
「窓際のジェラシー」は80'sディスコチューンだし一体どうなっているんだ。
色々なジャンルであちこち行ったり来たりしているはずなのに不思議と地続きなイメージなのが"日記"のテーマにも合っている。大人びた今の中島愛の魅力を凝縮した一枚で素晴らしい。
本日は晴天なり / 大西亜玖璃
良くも悪くも、可愛さに全振りしているという印象。c/w曲の方が好きかもしれない。
ちなみに、大西さんは大手芸能事務所オスカープロモーションが主催した全日本国民美少女コンテストのファイナリスト*2出身という異色の経歴の持ち主。この話だけでも覚えて帰ってください。
きまぐれチクタック / harmoe
僕の好きなトラックメイカーのTomggg氏が手掛けているという情報を聞きつけ即購入。
こういう声優ユニットでダンスミュージックをやることは今ではさほど珍しくはないけど、ミックスが非常に丁寧に仕上がっているのと、収録楽曲3曲のコンセプトがブレずに一貫しているのが良い。ちなみに表題曲「きまぐれチクタック」が3曲目にくるのは不思議の国のアリスの時間逆行旅を忠実に再現しているから(だと思っている)。
magical mode / 花澤香菜
「恋愛サーキュレーション」でおなじみ神前暁との黄金タッグが2021年に実現。ここ10年で培ってきたキャリアをもってして円熟味のある歌い方をしている。ちゃんとアーティスト花澤香菜のポテンシャルを最大限に引き出す神前暁の手腕にも恐れ入る。もちろんハイレゾ音源で聴いています。
ただ、これで味を占めてこのフォーマットの曲を連打してきたら引くかもしれない。
そういえば、『ほほ笑みモード』というシングルをリリースしていた2014年頃はまだ手探りな印象だったのを思い出す。クラブミュージックを力技でやっていた時代を乗り越えてここに到達したと考えると感慨深いものがある。