『Life Is Strange(ライフ イズ ストレンジ)』というゲームをクリアした。
元々Steamでエピソードごとに配信された作品を一つのパッケージにまとめたもの。海外ではそのシナリオなどが高く評価され様々な賞を受賞したと聞いて気になったので、やってみた。実に素晴らしかった。これほどまでに完成度の高い内容で4000円台という価格設定も良心的だ。
ある日突然時間を巻き戻す力を手に入れた主人公・マックスが、数年ぶりに(思わぬ形で)再会した親友のクロエとともに、同じ学校で失踪したレイチェルの事件を追っていくというストーリー。
ジャンルとしてはアドベンチャーゲームにあたる。全5章構成。
プレイヤーは事あるごとにどういった行動をとるか、どういった言葉をかけるかといった選択を迫られることになる。その選択の数々はどれもプレイヤー自身による正しい選択として進行していくため、直接ストーリーに影響を及ぼすことはないが、そこからいかようにも展開が広がっていくので飽きさせない。万が一「やっぱりここではこうしておこう」とやり直したくなったら時間を巻き戻せばいいので、バッドエンド(ゲームオーバー)に至ることはない。
時間を巻き戻す力ということで、あの「バタフライ・エフェクト」的な作りを彷彿とさせるが、どちらかと言うとSF色は抑えめで青春を追体験するようなシナリオだったと思う。片田舎の学校という小さなコミュニティから始まる、そんな絶妙なスケール感が物語に深みを持たせていた。
加えて、夕日に映える町の風景も印象的だったし、それを彩るBGMにも心揺さぶられた。各エピソード終了後のスタッフロール時に流れる曲も本当に良かった。
全編日本語吹き替え(英語音声・日本語字幕プレイも可能)にした点も評価したい。キャストによる演技も熱かった。
個人的には、何かを調べる度に出るマックスのコメントも楽しかった。スクエニつながりか、ファイナルファンタジーの映画ネタにはニヤりとした。
そして何と言っても、登場人物が個性豊かであることがこの作品の魅力である。学校のクラスメイトや関係者、町の住人、それぞれに生活があり、徐々に関わっていく中でどういった人間であるのかが見えてくる。喜怒哀楽を如実に示す、そんな人間臭さが垣間見えて感情移入しやすかった。
また、いじめや薬物、家族問題など、ナイーブなテーマも扱っており、考えさせられる場面もあった。
プレイしていくうちに、段々とマックスを操作するという感覚を超えて、まるで一本の映画をリアルタイムで組み立てているかのような凄まじい没入感を得られた。どこか、自分だけの物語を見届けた気分である。
特に、エピソード5:偏光のこれまでやってきたことが走馬灯のように全て押し寄せてくる演出は圧巻の一言だった。
人生は選択の連続だからこそ面白い、そんなことを教えてくれる素晴らしい一本に出会えた。友達と思い出を作ることの大切さも謳っていたと思う。
映画好きにもオススメ。傑作。