お盆に入ったか入ってないかくらいのタイミングで某大手レンタルビデオ店に行く機会があって、そのときに借りたドラマが「11人もいる!」だった。
前々から気になっていたので、この夏の機会に観ておこうという魂胆だ。
4年前にテレビ朝日の金曜ナイトドラマ枠で放送された今作。
貧乏なのに子だくさんな10人の大家族・真田家のお話。神木隆之介演じるアルバイトで家計を支える長男・一男を中心にドタバタホームコメディがハイテンポに展開していく。
お母さん(光浦靖子)はお父さん(田辺誠一)の再婚相手、つまり後妻で、死別した前妻(広末涼子)は幽霊として登場する。その姿が見えるのは唯一後妻との間に生まれた末っ子(加藤清史郎)だけという何だか面倒臭い状況。でもこの二人が仲睦まじくも小気味の良い掛け合いを終始見せてくれる。まるで夫婦漫才。
宮藤官九郎という手腕のある脚本家のおかげか、とにかく全体的に笑いの取り方が絶妙である。
また、キャストのチョイスも結構面白い。
今まさに飛ぶ鳥を落とす勢いの若手女優である有村架純が長女役として出演していることもそうだが、湘南乃風リーダーのRED RICEもとある役で最後まで関わってくる。存在感はなかなか。
そしてみんなの“おじいちゃん”(!?)役にきたろう。きたろうがいるだけで本当に面白い。
父親の実弟、星野源演じるヒロユキおじさんもコミカルな役回りで盛り上げる。
仕事もろくにできないどうしようもない人間なのに、なぜか憎めない。
一男との絡みもこれまた笑いを誘う。
余談だけど、自身の2ndアルバム「エピソード」(ドラマの放送当時発売)がどこかのシーンでチラッと見切れたので探してみると良いかも。
観ていくと分かると思うが、扱っているのは意外とデリケートな問題の数々。とはいえ重く堅苦しい雰囲気になることは皆無で、どれも程よくポジティブに、笑いに変えていく。そこが演出とクドカン脚本の妙だ。
毎回劇中で出てくるダイナミックパパ(一家)も印象的で、大家族モノへの皮肉が効いている。
最終話での展開は確かに急ではあるが、まあこのドラマだったらアリかもと思わせてくれるので文句はなし。
とはいえ欲を言えば最終話前にもう1話くらいあればよかった気もする(全9話)。
ちなみに、個人的に好きな回は前妻が亡くなった真相が明らかとなる第7話。ラストでやられた。
ところで、ヒロユキおじさん(星野源)が格言を歌にのせる演出が毎話あり、この歌が頭から離れない。
素晴らしい挿入歌である。「家族なんです」って、なんていい歌を作るんだ。