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約束のカタコンベ

春一番よりもセンセーション

恋 / 星野源 ディスクレビュー「夫婦を超えてゆけ。」

ディスクレビュー 音楽 星野源

星野源9thシングル『恋』。

 

恋 (初回限定盤)

 

表題曲「恋」は自身も出演するTBS系火曜ドラマ『逃げるは恥だが役に立つ』主題歌。

ブラックミュージックやダンスミュージックを今まで以上に突き詰めつつ、日本人ならではの情緒を感じさせた生(性)的傑作4thアルバム『YELLOW DANCER』をまた凌駕する勢いで、「次の星野源の音楽はこれだ!」と言わんばかりである。今のポップシーンの決定打として相応しいシングルではないだろうか。

 

01. 恋

思わず体を揺らし踊りたくなるダンサンブルなサウンドとそのオリエンタル感にまずやられる。間奏のギターなんてカッコ良過ぎて反則的なくらいだ。マリンバ二胡を取り入れた豪華なストリングスは新しくもどこかSAKEROCKの名残があって懐かしい。

そして何と言っても、歌詞が全体的に1stアルバム『ばかのうた』に近い雰囲気に戻っているのが嬉しい。誰の生活にも"恋"はあると唄う、そんな絶妙な温度感が星野源らしくて安心する。曲の唄い出しが≪営み≫という言葉なのが良い。

個人的には2番の≪恋せずにいられないな 似た顔も虚構にも/愛が生まれるのは一人から≫の部分にグッときた。大ヒットナンバー「SUN」もそうだったが、明るいサウンドの中にこういう"孤独"が見え隠れするところに星野節を感じてワクワクする。

それにしても≪夫婦を超えてゆけ≫というフレーズは聴く度にシビれる。まるで今と昔がリンクするかのようで。最高。

 

02. Drinking Dance

ハウス『ウコンの力』のCMソングとしてテレビでガンガン流れていた一曲。終始ファルセットで進行するクラブ感全開のナンバーで、これも聴いたらノリノリにならざるを得ない。

お酒を飲んで酔っ払ってハイテンションになっている様をイメージしつつも、例えば2番の歌詞の≪誰も実は ずっと寂しいだろ≫などで楽しさと切なさが同時に襲ってくるかのような感覚に陥る。飲んで踊って何もかも忘れてやるぞ、みたいな。この微かな寂寥感が癖になる。

 

03. Continues

スカパー!リオパラリンピック放送テーマソング。グルーヴィーなサウンドに≪命は続く≫というストレートで熱いメッセージが乗り、ひたすらその想いが溢れるように伝わってくる。そして同時に、自身に唄うことのきっかけを作った細野晴臣へ捧げる一曲でもある。

イントロが流れ出したときの高揚感がたまらないし、≪地平線の向こう≫という未来へと連なるフレーズに胸が高鳴る。転調も見事に効いている。

バックコーラスを担当したゲストの方々*1も実に素晴らしい…!

 

04. 雨音(House ver.)

星野源のシングルラストトラック恒例の宅録楽曲。今回はいつも以上に、前3曲の熱がそのまま続いているかの如くソウルフルな一曲に仕上がっていて締めに心地良い。

屋根に当たる雨音を表現しているであろう曲終盤の仕掛けもなかなか印象的。こういう遊びは宅録ならでは。

 

全4曲収録のシングルだが、毎回ミニアルバムを聴き終えたかのような充足感に。シングルでやれることの全て詰め込んでいるのが分かる。

星野源のこれまでとこれからを繋ぐ渾身の一枚。

 

ちなみに、山岸聖太ディレクターによるシュールな映像が小1時間も続く初回限定盤DVD『恋ビデオ。』も相変わらずくだらなくて面白かった。フライボードではしゃぐニセ明さん完全に面白ビデオみたいになっていた。

合間の「METROCK2016」厳選ライブ映像もGOOD。

あと、初期のシングルの初回盤DVDから恒例だが、メニュー画面放置で始まるミニトークみたいなのが地味に好き。

*1:詳しくは『恋』ブックレット参照。