約束のカタコンベ

生活の記録

シェフ 三ツ星フードトラック始めました 感想「全ての批評家に捧ぐ」

今朝は映画『シェフ 三ツ星フードトラック始めました』を観た。

 

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主人公は一流レストランのシェフ、カール。ある日大物の料理批評家が来店することとなり、自分なりの料理で勝負に出ようとするも、オーナーの指示で平常通りのメニューを提供してしまう。結果、ブログに料理のことをボロクソに書かれ、挙句カールがその批評家にブチ切れる動画がSNSで拡散。解雇され職を失った彼は、心機一転元妻との間の息子・パーシーと共にフードトラックでLAを巡る旅へ出発する。

 

ストーリーに関しては大胆な展開はないが、現代のSNSを絡ませた話はリアリティが出ていて良かった。SNSに疎いカールがTwitterでひと悶着起こすところとかそれっぽい。

そして何と言っても、フードトラックでの旅を通してカールとパーシーの距離が縮まっていく過程が感動的であり、この映画の醍醐味となっていたのではないだろうか。終盤、カールが"あるもの"を観る場面では一気に目頭が熱くなった。

 

料理が題材ということで調理シーンがガンガン映し出されるが、その度に漂う美味しそうな匂いにやられる。特にLA各地を回っているときなんかは、バックで流れるラテン音楽とテンポよく合わさって気持ち良い。キューバサンドイッチのあのとろっとろのチーズから目が離せないし、今にもお腹が鳴りそうだった。キ○タマにコーンスターチをかけて恍惚とするくだりもTHE アメリカンっぽくて面白かった。

"料理人"として着実に成長していく息子のパーシーも本当に逞しく、父が頼りにするだけある。しかも弱冠10才にして器用にTwitterを使いこなし、ジオタグを付けてフードトラックを宣伝しちゃうもんだから凄い。

 

ところで、カールが批評家に対して俺たちが一生懸命に作った料理を馬鹿にするなと声を荒らげるシーンは序盤ながらも印象的であり、この映画で最も伝えたいメッセージが込められているように感じた。

どんな作品にも製作者の心血が注がれており、上っ面だけの批評をしている場合ではない。全ては楽しんだ者勝ちである。

 

というわけで、『シェフ』素晴らしかった。派手さこそないものの、確実に観る者の好奇心と食欲を掻き立てる映画だと思う。