約束のカタコンベ

生活の記録

CHAOS;CHILD(カオスチャイルド)プレイ感想「この物語の本当の主役」

2014年12月18日にXbox Oneで、2015年6月25日にPS系ハード3機種で発売された、科学アドベンチャーシリーズ第4弾『CHAOS;CHILD』。通称カオチャ。

事前に配信された体験版で第1章をプレイしてこれは買わねばと思い予約。発売日にPS4初回限定版を手にしてからというもの、ちょこちょこ進めながらも、昨年の夏に腰を据えて一気にやりました。連日明け方まで没頭。無事にトロフィーコンプリートという完膚なきまでの形でこの“くそったれなゲーム”を攻略したわけです。

 

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"くそったれなゲーム"はここでは褒め言葉の意にするとして、これほどまでの作品をプレイした感想を是非とも自分の文章で残しておきたいと思った次第である。

実は結構前から書き溜めていて、いつ頃記事としてアップしようかと考えていたが、PS版発売から丸1年経過したこのタイミングが良さそうだと判断したので投稿。

前半ではネタバレなしでカオスチャイルドの全体的な感想・総括を、後半ではネタバレ全開で各個別ルートの感想を自分の攻略順に綴っていきたい。全クリした人向けで。 というわけで、一応前半は誰が見てもOKな内容になるかとは思いますが、全ての事前情報をシャットアウトしてプレイしたい方は今すぐこのページを閉じましょう。

 

カオスチャイルド感想・総括(ネタバレ無しver.)

さて、カオスチャイルドを完全クリアしてみて、期待通り申し分なしの傑作であったと確信している。 科学アドベンチャーシリーズとしてはもう4作目になるわけだけど、「妄想」というテーマを見事にシリーズ1作目の『CHAOS;HEAD NOAH』から昇華させた出来映えになっているのではないかと思う。

シナリオのボリュームとしては過去最大級でプレイ時間もそれなりに費やしたが、冗長に感じる場面は一度もなく、最後の最後まで物語を読み進める手が止まらなかった。始めは好奇心を抱きながらお話の行く先を見守っていたはずが、それがいつの間にか猜疑心へと変貌してしまう。・・・そうです、誰もかれもが怪しく見えてくるという厭なアレです。そんな中でどこまでも没入させるシナリオの作りには本当に唸らされた。特にTRUEに入ってからの怒涛の展開には目を見張るものがある。

いとうかなこさんが歌うOP曲「シンギュラリティ」もカオスチャイルドとの絶妙なシンクロっぷりを感じさせる一曲。全てを知ってから聴くとまた印象が変わる作りになっているのもポイント。グサリとハートを突き刺すかのような歌詞の数々。熱い。志倉氏の手腕に改めて驚かされる。

とにかく伏線の設置及び回収が実に巧妙である。「あーこれはどうせそういうことなんでしょ」とたかをくくっているとその想定の遥か上をいくので本当にニクい。振り返ってみると、知らぬ間に制作者の手中に収まっていたというかまんまと嵌められていたというか。ストーリー構成に関してはもう相当練りに練り込んだと思われる。

往々にして「カオスチャイルドはシュタインズ・ゲートを超えたのか?!」なんて話題で盛り上がっているのを耳にしたのでそれについても触れてみる。まあ超えたかどうかはさておき、個人的な好みを言わせてもらえばシュタゲよりもカオチャの方が好きかな。ダークでサイコな世界観にゾクゾクできたし。もちろんエロもあります(ここ重要!)。シュタゲ・カオチャ両方の確かな共通点を強いて言うならば、クリア後に放心状態になるということでしょうかね。

カオチャクリア後は、何を観ても、何を聴いても頭の中がその"くそったれなゲーム"のことで一杯になったので、それだけ計り知れない衝撃を受けたことは間違いない。そしてずーっと付き纏う寂寥感。私にとっては忘れられない、一生記憶に残るゲームになった気がします。くそったれだけど最高に興奮するゲームだったぜ・・・!!

ちなみに、共通ルート→雛絵編→乃々編→華編→うき編→TRUEという流れで私はプレイしたけど、これからプレイする人へのアドバイスとしてはとりあえず乃々編は最後(TRUE直前)にした方がいいかも。まあでも、自分の好きなキャラのルートからやればいいんじゃないかな!?なんてね。各自に任せます。

 

以上カオスチャイルドの全体的なプレイレビューを書かせていただきました。 ここからはそれぞれの個別ルートについての感想を。

 

 

 

 

 

※!CAUTION!※

以下、物語の核心に迫る重大なネタバレが含まれます。TRUEエンドに到達された方のみ閲覧して下さい。

  

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

CHAOS;CHILD(カオスチャイルド)エンディングリスト

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  • 共通【Over sky end】
  • 雛絵編【Dark sky end】
  • 華編【Deep sky end】
  • うき編【Dream sky end】or【Another sky end】
  • 乃々編【Real sky end】
  • TRUE 世莉架編【Silent sky end】

 

第11章(共通)「彼の戦い-Takuru Miyashiro-」【Over sky end】

【Over sky end】は、共通ルートにて最初に必ず観ることになるエンディング。 6年前に渋谷で起きた「ニュージェネレーションの狂気」と呼ばれる猟奇的な連続殺人事件の再来と、それに迫ろうとする宮代拓留。碧朋学園新聞部を中心に、日常が徐々に崩壊していく展開を見せる。

実は今回の猟奇殺人は全て拓留が妄想の力で生み出した世莉架という存在によって仕組まれたゲームに過ぎなかった、という衝撃的な真相が明かされるのがこの【Over Sky End】。要するに世莉架は拓留にとってのイマジナリーフレンド。ビックリですよ。 カオスチャイルドに仕掛けられた大まかなギミックがまずこの共通ルートで判明します。

過去作カオスヘッドの中心的なトピックである「ニュージェネレーションの狂気」を堂々となぞっているため、私のようにカオスヘッドを知っている人からすれば、主人公にべったりのヒロイン(=世莉架)もいるし、あーこれは結局カオスヘッドの延長線上にある話なんだな、と勝手に汲み取るわけですが・・・まんまとやられましたね。 "情強"を自負する拓留自身、そして我々プレイヤー自身が分かった気になっていただけで実際は何も知らなかった、と否応なく現実を突き立てられる構成になっていたと思う。

そして、後半に待ち構えている第6の事件「非実在青少女」はカオスチャイルドを象徴するであろう最凶最悪なビックイベントで、この章を終えた後はもうこのゲーム棄権しようかなと本当に悩み始めたレベルだった・・・。ただでさえバラバラ死体はキツいのに、それを小分けしてプレゼント箱に詰め込むなんてもうトラウマになるってもんじゃないぞ。何とか乗り越えられたから良かったけど!

ちなみに、今回数量限定版を購入すると特典として"『プレゼントBOX』ペーパークラフト"なるものが付いてくるが、実はこの「非実在青少女」を再現したものだった・・・なんて陰湿な。"可愛らしいプレゼントボックス"を全15種類完全再現するという謎のこだわり。いやいやそんなの組み立てたくないぜ・・・。こういうのを狙ってやってくるスタッフに何だか恐れ入っちゃうね!酷いけど!鬼ッ!

バラバラに分解される結衣もそうだけど、それを実行するのが(操られていたとはいえ)伊藤という本当に救いようのない顛末。で、じゃあこんな最低なことを仕組んだ悪い奴は・・・と考え出すとまた頭を抱えたくなるスパイラルに陥るだけなのでやめよう。

終盤、渋谷ヒカリヲの中にある劇場での妄想バトルは本当に熱かった。例の父さん(この父さんもどんな他意があるとはいえ、父さんは父さんなので、やっぱりエグい)と熾烈なディソードのぶつけ合い。 妄想による攻撃など最早人知を超えた苦痛のはず。そこに打ち勝つという展開はかなり燃えた。

世莉架は病院から拓留を連れ去り―――な結末でこのルートは幕を閉じるわけだが、一応これでもカオスチャイルドという物語は完結していることになるとは思うので、これを受け入れて自己完結!ってのもありっちゃありかな。知らない方が幸せなことだってあるわけだし。

 

雛絵編「虚実に抗うその瞳に映るもの-True World-」【Dark sky end】

恐らく、カオスチャイルドの中では最もギャルゲー色が強く、「もう何でもいいから萌えたい!萌えさせてくれ!」って人にはうってつけのルートになっていると思う(ただし途中まで)。雛絵の可愛さを改めて認識させられる部分も多々ある。いや本当に、マジで雛絵ちゃん可愛い!「チャオっす」というお茶目な挨拶も好きだが、これってやはりカオスチャイルドのカオスにかけてるのかね。

さて、このルートを通して、雛絵がそのキュートな見た目とは裏腹に壮絶な人生を送ってきたことが判明する。家族が隠していた秘密を知りたい、そうして真実を追い求めるあまり、彼女は「嘘をついているかどうかが分かる」能力を手にしてしまう。 その人が言ってることが嘘かどうか分かってしまうなんて、間違いなく日常生活に支障をきたすし、それどころか誰も信用できなくなってしまう末恐ろしい能力なんだと痛いほどに分かる。だから気丈に振る舞っていた雛絵の心情を察するとなおさら心苦しい。

ところで雛絵編、ギャルゲー色が強いと冒頭で述べた通り、妄想トリガーが完全にそっち系のいやんうふん的なもので充実していたり、渋谷で買い物デートしたりと、あの例の「非実在青少女」で抉られた傷を癒すには十分過ぎるほどLOVE&PEACEで満ち溢れていてニヤニヤが止まらなかった。素晴らしい。

なお、このルートは第4の事件が起きた後に分岐するので結衣にも伊藤にも何事も起きない世界線ではあるのかな・・・雛絵の父親など周囲の人間が亡くなってしまうわけだが。で、 最終的にはこのルートで起きる殺人事件の犯人が雛絵の母親だと分かる。そんな母親が発狂しちゃって襲ってくるが、拓留が雛絵をかばって力尽きるという展開。

ラストは拓留と雛絵がいつまでもラブラブに、幸せに過ごしていくのでした・・・という雛絵の妄想世界を垣間見ながらも、現実世界では病院の地下で拓留の遺体を抱きかかえる雛絵の姿。非常に切ない。 発見されるまで数週間かかったそうだが、果たしてその間どうやって生き永らえていたのだろうか。考えるだけでも恐ろしいが、拓留が白骨化しているということはやはり・・・?

とりあえず、その瞳に映るものは現実じゃなかったけど、雛絵にとっての"True World"はあれでこそ全てだと思う。

 

乃々編「錯綜する光と影に惑う思いは-Heads or tails-」【Real sky end】

拓留の前でどんな時も姉のように振る舞っていた乃々の本当の姿が明らかになるルート。個別ルートの中でも、唯一TRUEへと繋がる布石が打たれているので重要ではある。というわけで、できるものであれば前述の通りTRUE直前に入るのがベストなルートかもしれない。

このルート冒頭、碧朋学園の屋上で世莉架に「出来の悪い大嘘付き」と言い放たれたり、共通ルートでも雛絵に嘘を見抜かれたりと、何となく怪しい部分が見え隠れしてはいたが、まさか来栖乃々の正体が6年前の渋谷地震で生き別れとなった友人の南沢泉理だったなんて。彼女は「複写」という能力を利用して来栖乃々という偽りの姿を演じていたに過ぎなかった、というのはやはりこれまで見てきたものが一気にネガポジ反転するかのようにショッキングではあった。このルートのタイトルには「光と影」という対になるものが入っているが、これはまさに来栖乃々と南沢泉理のことを暗示しているのだろう。

エンディングとしては、南沢泉理という本来の姿に戻った新・来栖乃々(?)を結人やうきが戸惑いながらも本当のお姉さんとして受け入れていくというもの。愛は地球を救うじゃないけど、乃々が家族に対して注いでいた愛情に嘘偽りはなかったわけだ。最後、乃々のお墓を前に、現実と対峙していくことを決心する泉理がどこか勇敢に見えたな。世莉架との対決もそうだったが。

それにしても、このルートは川原くんに対しての好感度の下がりっぷりが尋常じゃなかった。「お前マジで何なんだよ!そんなの暴力で解決できるわけだろ!」的なヘイトをこれでもかと集めまくるキャラだったのは間違いない。しかしその分女性キャラクターがより際立ったというか魅力的に映ったので良しとしよう。個人的には、拓留の"本当に大切な人"の存在を察して自らを犠牲にする世莉架に強く萌え・・・ではなく、心揺さぶられた。いや、乃々ルートだけど。

主人公とヒロインが共に手を取り合って生きていくという結末は意外にもこのルートだけなので、そういう意味では後味は比較的良い方かもしれない。"カオスチャイルド症候群"も"ニュージェネレーションの狂気の再来"も何もかもなかったことにしちゃおうという感じで。

 

華編「過去からの残響に踊る-Pandemic Call-」【Deep sky end】

新聞部の中でもほとんど喋ることはないというどこか不思議で与り知らぬキャラクター華のルート。これまで彼女が徹底して喋らなかったのは、図らずも全てこのルートのための前フリとなっていた。

何が行われるかと言うと、渋谷の街が彼女が溺愛する架空のゲーム「エンスー2」のような状態に陥り、黒幕との直接対決となった結果巨大力士シールマンを召喚・・・と、改めて文章にしてみてもやはりぶっ飛んでいる展開が繰り広げられるため、個別ルートの中でも異質で浮いているというのが分かる。フレイム・アーク・ドラゴンがエンスーの世界を飛び出して渋谷を徘徊するのはこの華編だけ!あんなの目の前にしたら人間なんて無力だぜ!(ちなみに、マッピングトリガーで渋谷ヒカリヲへの行き方を間違えるとこのモンスターにやられるバッドエンドに分岐する)

さて、ここで言う黒幕とは新聞部顧問をやりながら、300人委員会の刺客として暗躍している和久井のことである。この和久井に乃々を人質に捕られた状態で立ち向かっていくことになるわけだが、意外にも300人委員会とのバトルが明確に描かれているルートだと思った。

そもそも華がほとんど喋らなかった理由は、「声に乗せて妄想をエネルギーとして拡散する」能力を持っていたからである。しかもこの能力はコントロールできないとか。なるほど、だからこれまで迂闊に声を出さないようにしていたのか。そういえば、雛絵編で雛絵の兄が人殺しの存在として登場する場面があったが、あれも華の能力のことを示唆していたと感じた。勝手に人ならざるものが出てくるわけないものね。

無口キャラなはずだった華がガンガン叫びまくる上に、巨大力士シールマンが渋谷でパワープレイを効かせるというある意味カオスチャイルドにおけるお祭り的なシナリオだったが、これはこれで楽しかった。

失禁シーンとか、舌を噛み切る幻覚を見せられるシーンとか、18禁指定になるのも至極当然と頷けるくらい過激な描写があることも華編のポイント。あとは、少しではあるが前作カオスヘッドで活躍したナインハルトがエンスー繋がりで絡んでくる場面があったのは結構嬉しかった。

 

うき編「無意識で我が儘な優しさの浸食-Butterfly-」【Dream sky end】

うき編は、個別ルートの中では唯一エンディングが2種類用意されており、2回目の妄想トリガー時にポジティブを選択すると【Dream sky end】に、ネガティブを選択すると【Another sky end】にそれぞれ分岐する。

このルートは、「非実在青少女」付近で伊藤に襲われた拓留をうきが救い・・・という形でスタートする(あの惨憺たる光景をまた見なければならないのは辛いところではあるが)。目覚めるとそこにはいつも通りの平穏な青葉寮があり、結衣も当たり前のように生きているという世界。新聞部も平常通り活動している。とはいえ、明らかに何もかも上手くいっている状況なので、なんとなくここは拓留の妄想の世界なのだろうと勘付いたけど・・・。

とりあえず、うき編で鍵を握る"蒼崎夢"という人物が可愛かった。カオスチャイルドというゴアでダークな世界観にどっぷりと浸っているプレイヤーの一人としては、こういう女の子の登場は清涼剤の如くビシバシ効いてくるし、どうしても舞い上がってしまうわけだ。女の子は大事。

それはさておき、終盤、これらは全て"うきの望んだ妄想の世界"であることが判明する。うき自身が妄想で渋谷の街を丸ごと作り出し、その中に拓留を閉じ込めるという離れ業をやってのけた。

私はてっきり、拓留自身の望んだ妄想の世界で右往左往しているのだろうと思っていたが、それはミスリード。実際はうきが「普通の生活を送りたい」という思いから妄想の世界を自ら望んで作り上げていた。それも瀕死の状態になるくらい身を挺してまで。またやられた。しかもここで、追い討ちをかけるように「蒼崎夢は山添うきのアナグラム」という事実も出てきたので完全にグロッキー状態になりました、ハイ。

そこからは2つあるうちのどちらかのエンディングへ突入。【Dream sky end】では拓留は現実世界に戻ってくることができるのだが、うきは命こそ助かったものの脳へ甚大なダメージを受けていた。そういう状態のうきを拓留が献身的に看病していくかのような結末。

一方、【Another sky end】では拓留が現実世界で目覚めるところまでは同じだが、うきが自然死しているという切ない展開が待っている。久野里曰く、うきが自然死を妄想としてリアルブートした可能性があるとかないとか。ところでこのエンディング、「ここがまだ妄想の世界だというなら・・・」という久野里の発言だったり、ラストで意味ありげに出現する"小さな影"だったりと、現実と虚構の境界線が曖昧模糊になっていたのも興味深い。

現実の世界とうきの妄想の世界、果たしてどちらで生きるのが最良で、幸せなのだろうか。そんなことを考えさせられる、これまた印象に残るルートだった。

 

TRUE(世莉架編)「本当の彼女たちの生き方-Chaos Child-」【Silent sky end】

各ヒロインの個別ルートを通して、もうこうなりゃ何でもかかってこいぐらいの気持ちで遂にTRUEへ。とにかくここからが本番。正直、覚悟して臨んだ以上のことが待ち受けていた。カオスチャイルドという物語の全ての真相が明らかになる激動のシナリオである。

TRUEは、普通の女子高生となった尾上世莉架の視点で進行する。これがもう挑戦的というか、何か仕掛けてきているのを感じたが、まず知ることになるのが"カオスチャイルド症候群"について。実は今まで物語の中心拠点となっていた碧朋学園はカオスチャイルド症候群患者の収容施設だった。しかもその症例は老化であり、あくまでも集団で妄想を共有しているに過ぎなかったというわけだ(当然その自覚はない)。これらを知るきっかけとなる、学生の格好をした老人らが一斉に振り返る教室のワンシーンは本当に衝撃的でエグかった。こういうビックリ箱的演出は心臓に悪すぎる!

世莉架と乃々の2ショット写真に関しても、あんなヨボヨボな姿と成り果てた乃々を見せられて絶句してしまった。雛絵編のときに「マジで雛絵ちゃん可愛い!」と絶賛していたけど、ここで見方をぐるっと変えられてしまってはその発言にも目が当てられなくなるね・・・ヨボヨボの雛絵ちゃんか・・・。あと、雛絵編での渋谷デートで、雛絵が何でもないところで転んで拓留に「歳なんじゃないのか?」と言われるくだりがあったが、あれも今思えば見事に伏線だった。

そして、世莉架がAH総合病院で拓留と"再会"するシーン。今の世莉架にとって、拓留は数々の猟奇的殺人事件を起こした社会的にも許されざる存在なので、やはり罵声を浴びせるしかないのだが、そこで達観して微笑む拓留の姿が非常に切なかった。これでまた幼馴染の関係も何もなくなったってのが念押しされたかのようで・・・胸が痛い。

TRUEでも300人委員会の和久井が登場し、渋谷の街もカオスチャイルド症候群患者も全て世界統一政府の実験に利用されていたなどと語る。相変わらずよく喋るラスボスだが(!)、管理社会の実現を目論む"ニューワールドオーダー"という陰謀論も絡んできて面白かった。300人委員会が如何に強大で雲の上を掴むような存在であるかもまた理解できたので、科学アドベンチャーシリーズらしかった。

エンディング。渋谷の街をあてもなく歩く世莉架はあのかつて"決戦"した劇場へと辿り着く。これまでの自らの既視感から何かを思い出すかのように、芝居が終わって涙ながらに見上げる世莉架の姿。ここから、いとうかなこさんの「silent wind bell」がゆっくりと流れ始め、エンドロールへと突入していく演出が本当に素晴らしかった。歌詞がそのまま突き刺さってくる名曲。目頭が熱くなった。

さて、最後の最後、「舞台の照明が、まるでスポットライトのように、『私』に降り注いでいた。」という一文で幕を閉じるが、本来舞台の照明が特定の客席に向けられることはあり得ない。この暗示的な表現から確信したのだが、やはりカオスチャイルドという物語の主役は世莉架ではないだろうか。だから、世莉架が観ていたのは現実の舞台ではなく、カオスチャイルドというある意味で御伽噺的な舞台だったと言えるのかもしれない。じゃないと彼女に対して舞台の上から光が注がれるなんてことはないはずだし。

エピローグ、拓留と世莉架が邂逅するも、お互いに「知らない」と呟く。これもまた胸が苦しくなるワンシーンで・・・あまりの辛さに涙も引っ込むレベル。でもこれをTRUEエンドとして堂々と提示したスタッフの皆さんは立派である。脱帽。最高の終わり方でした。

 

以上、カオスチャイルド個別ルートの感想おしまい。いやもう本当に凄いゲームだったな。アニメ化も決定しているとのことなので楽しみだが、何よりも個人的には『CHAOS;CHILD らぶChu☆chu!』の発表を密かに期待している。もっと雛絵ちゃんとデートさせてくださいよ!!!!!久野里さんともイチャイチャしたいぜ!!!!!

 

CHAOS;CHILD - PS4

CHAOS;CHILD - PS4