星野源4thアルバム『YELLOW DANCER』。
結論から言いますと、このアルバム、大好きです。ヘビロテできます。踊れます。
氏の敬愛するブラックミュージックがいい塩梅にJ-POPに落とし込まれている。それこそブラックというよりはイエローだと胸を張って言えるような楽曲の数々。メロディーに関しても星野源の音楽史上最も洗練されているのは間違いないかと。
「生きることは踊ることと同義だ」という本人の想いが強く込められているためか、作風としてはだいぶ明るい。煌々と輝いている作品になっているのはよく分かる。例えば、「Week End」はビックリするくらいソウルフルだし、「ミスユー」もこういう切り口があるのかと思わせる新鮮な楽曲だった。
ただ、世界や人生はそんな大層なもんじゃないと捉えた『ばかのうた』、何気ない日常の大切さを歌い上げた『エピソード』、ポップな音像の中で死生観を映した『Stranger』――過去3作品と比べると、是非はともかくとして、『YELLOW DANCER』は浮いているとは思う。その所以はやはり、聴く人を意識するようになったり、「踊っている俺を見てくれ!」と言わんばかりに外側に向けて音楽を発信するようになったりと、そういう変化が現れているからではないか。
実際、病に倒れ一度生死の境を彷徨ったから、もう辛いことは要らない、楽しいことだけやっていこうじゃないかと彼の姿勢は変わったのだ。何か、生(性)をヒシヒシと感じるエロい構成になってるんですよこの『YELLOW DANCER』ってアルバムは。略すと“エロダン”だし。
でも、個人的には素朴で根暗な歌詞のある曲も好きなので、“苦しい”の中には“面白い”がある、そういう唯一無二の歌詞で聴かせるような曲がもう作られないと考えると寂しい気持ちはある(人気者になっちゃったしそこはしょうがないのかも)。
『YELLOW DANCER』はどちらかというと小難しいことは考えず、とりあえず聴いて肩を揺らすようなアルバムだと思う。アレンジ的に新しい試みは色々あるけれど、「時よ」「Nerd Strut」「Friend Ship」あたりはSAKEROCKや初期の星野源の音楽を彷彿とさせる懐かしい作りになっているので、以前から聴いている人には感慨深いものがあるのではないか。
一部の音楽雑誌では最高傑作だなんて謳ってるけど、最高傑作って言い方はまだ仰々しく感じる。今を踊ること、そして変わる星野源の音楽を純粋に楽しむためのアルバムだと僕は思いました。
まあでもソウルフルでダンサンブルなアルバムだし、最高ですね!(どっちだよ!)
最後に。今年のNHK紅白歌合戦への初出場が決まったことは記憶に新しいが、遂には自身初のオリコンウィークリー1位まで記録してしまった。
・・・この男、どこまで行くのだろう。こうなったらとことん踊り続けてほしい。
星野 源 - 時よ 【MUSIC VIDEO & Album Trailer】