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星野源横浜アリーナ2Days『ツービート/弾き語りDay』ライブレポート

先週16日・17日、星野源初の横浜アリーナ2Days公演『ツービート』に行ってきた。 

 

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 16日は“弾き語りDay”'、17日は“バンドDay”とそれぞれ銘打たれ、両日ともに密度濃くそして印象に残るライブとなった。
今回は、そんな充実感と幸福感に満ち溢れた星野源ツービートのうちの初日“弾き語りDay”を振り返ってみたいと思う。

 

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横浜アリーナという大舞台で、全編“ほぼ”弾き語り(“ほぼ”の理由は後ほど)というある意味エキセントリックな試みを成し遂げてしまった。

武道館公演のあのミニスカナースを踏襲するかのように、ミニスカサンタ二人に連行される形で登場。真紅のカーテンと豪勢なシャンデリアが輝く中、アコースティックギターを持った彼が最初に披露した曲は「歌を歌うときは」。

この曲は1stシングル「くだらないの中に」のカップリング曲ではあるが、シンプルながらもまるで日常を見透かすかのような歌詞に胸を打たれた。

そして間髪を容れずに「ギャグ」「化物」と続き、「嗚呼これが星野源横浜アリーナのステージか」という納得を与えつつも、決して背伸びしたものではなく確かに星野源のライブが始まったことを確信させてくれた。

ギター一本で奏でた「くせのうた」「レコードノイズ」は、大きな会場を温かく包み込んだ。
「フィルム」も、いつものライブとは違って弾き語りなのでアウトロの聴こえ方など趣があった。

その次に始まった「くだらないの中に」は最早説明不要の星野の代表曲。広い会場だとか大観衆だとか、そういうことは関係なしに一人ひとりの隣に寄り添うかのように優しく届けてくれた。

一段落ついて、星野は友達を呼んだ。長岡亮介である。
ここからアコースティックギターの音は二重となり、より厚みを増していったわけだが、圧倒的と言うよりは連携プレイと言うべきか。二人とも実に楽しそうにセッションに勤しんでいた。

地獄でなぜ悪い」では例の荒々しいイントロ部分を二人のアコースティックギターで可能な限りで表現していたのが面白かった。それと同時に、改めてライブではたまらなく躍動感が出る曲だと感じた。

星野のライブならではのスペシャルな撮りおろし映像の上映は勿論健在。今回は初の横浜アリーナ単独公演ということで、“一流ミュージシャン”からの応援メッセージが次々届いた。

まずはレイザーラモンRG。「Crazy Crazy/桜の森」初回限定盤DVDでも登場したことが記憶に新しいところだ。
彼が扮するはあの“佐野元春”。細かな言い回しのマネの面白さは勿論のことだが、特に2年前にNHKEテレで放送された「佐野元春のザ・ソングライターズ」星野ゲスト出演回の“歌詞カード朗読”再現ネタには最高に笑わせてもらった。

清水ミチコは自身が得意とする音楽モノマネで「くせのうた」のピアノ弾き語りに挑戦。
井上陽水から矢野顕子まで、もう本人が歌っているとしか思えないような高度な“カバー”に会場は大いに沸いていた。

ライブは中盤に差しかかり、星野はアリーナ中央に設置された特設ステージに移動しようとする。…セグウェイで!
凛々しい表情をしながら颯爽と駆け抜ける星野と、間近で本人を目にすることができるという滅多にない機会に我を忘れて興奮する観客の姿が対照的でシュールだった。

中央のステージではまず初期の楽曲である「ひらめき」を披露。
そして、全方位ぐるりと囲まれた中「スカート」をしっとりと聴かせた後は、自身が敬愛してやまない細野晴臣の「冬越え」と、彼のライブでは恒例のNUMBER GIRLの「透明少女」のカバーをそれぞれ披露。

ちなみに、「透明少女」前のMCでは例の“クソみたいな女”の続報が展開された。

特設ステージでの弾き語りを終え、同様にセグウェイに乗って退場。
「何でもいいんでBGM流してもらえますか」と星野が言った後流れ出したのは意外にもX JAPANの名曲「Forever Love」。その曲に合わせてセグウェイで駆け抜けていく姿は意外とマッチしていたのかもしれない。

その後、居酒屋の店員のような格好で登場した星野は、早速奥田民生の「さすらい」を歌い始めた。すると、どこからともなく「待てー!」という声が響き渡りまさかの奥田本人が乱入!
このサプライズには会場も大盛り上がり。

そして仕切り直す形で星野源奥田民生による「さすらい」共演が始まった。加えてPUFFY「MOTHER」もカバーも。豪華なツインボーカルを堪能することができた。

星野×奥田コラボパフォーマンスの最後を締めくくるは、なんと書き下ろしの新曲「愛のせい」。曲の後半のファルセットパートでお互い笑い出す一幕もあって面白かった。「特に発表する予定はない」というようなことを星野は呟いていたが、また何かの機会で聴きたいところだ。

再びお友達の長岡が登場。
最後に二人で届けたのは6月リリースのシングル収録曲であるダンスミュージック「桜の森」。
こちらもまた弾き語りでは聴こえ方が違っていた。思わず踊り出したくなった。というか踊っていた。

長岡を見送った後は、「働きたくない南の島でトロピカルジュースを飲んでいたい」的なトークを展開させながら「ワークソング」へ。そして「夢の外へ」で会場の一体感は最高潮に高まった。

最後に星野は、「今回のライブは裏テーマとして、歌を歌い始めた頃の自分と今の自分を繋ぐ」と語り、「ばらばら」で横浜アリーナ公演の初日を締め括った。実は歌い出しでミスしてやり直したのだが、そこもご愛嬌と言うか星野らしい。

アンコールに応えるは、これまた星野のライブには欠かせない寺坂直毅のナレーション。
「歌い納めはこの曲、“Crazy Crazy”です!」という威勢のいい声かけと共にカーテンが上がり現れたのは、煌びやかな照明に当たりながらも白いスーツを身に包んだ星野とその仲間達。あの「Crazy Crazy」のMVを丸々再現するかのようにハマ・オカモトからピエール中野まで大集結。大爆音で掻き鳴らし観客に最大級の興奮と感動を与えた(「弾き語りライブと言うのは嘘でした!」と星野)。

最後の最後は、弾き語りで「Stranger」。同名である3rdアルバムのラストに収録されている楽曲(シークレットトラック扱い?)。“また会えるなんて奇跡みたいだ”という歌詞にそれぞれ何を想っただろうか。

2月の武道館公演、春の全国ツアー、そしてこの横浜アリーナ公演と、星野にとってもそのファンにとっても、この2014年は大充実の1年だったと思う。
自身最大のキャパシティをもってしてライブを成功させたわけだが、「横浜アリーナでやるから凄い」ではなく「凄いから横浜アリーナでやる」と考えた方が割に合う気がしている。
そう、殊更言うことでもなく星野源は凄いアーティストというか、“凄いエンターテイナー”なわけだ。何も飾らず、ギター一本でオーディエンスの心を掴むその業は彼にしかできないのだから。
この日、歌を歌い始めた頃の星野源と今の星野源は確かに繋がり、そしてまた新たな世界へといざなってくれたと思う。最高だった。

 

2014年12月16日
星野源横浜アリーナ2Days「ツービート/弾き語りDay」』セットリスト

01. 歌を歌うときは
02. ギャグ
03. 化物
04. くせのうた
05. レコードノイズ
06. フィルム
07. くだらないの中に
08. 穴を掘る
09. Night Troop
10. 地獄でなぜ悪い
11. ひらめき
12. スカート
13. 冬越え
14. 透明少女
15. 老夫婦
16. さすらい
17. MOTHER
18. 愛のせい
19. 桜の森
20. ワークソング
21. 夢の外へ
22. ばらばら
<encore>
23. Crazy Crazy
24. Stranger