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約束のカタコンベ

通り過ぎた道はすでに 僕の中じゃどうでもいいこと

妄想代理人に渦巻く現実逃避

今敏監督のアニメ『妄想代理人』がWOWOWで一挙放送していたので、全話視聴した。

結論から言うと間違いなく“傑作”である。もっと厳密に言うと“観る人を選ぶ傑作”である。

東京・武蔵野で起きた“少年バット”という謎の人物による通り魔事件が、やがて世間の話題になっていくというサイコサスペンス作品。

先の読めない展開(とにかく話が二転三転する)、独特の世界観に自然と惹き込まれていった。
中盤から物語は一気に加速していくので目が離せなくなる。

この作品も、例の如く今敏監督による演出が光る。
現実と虚構の区別を曖昧にさせる手法は実に秀逸。

特筆すべきはやはりオープニング。メインキャラ達が屈託無しに笑っているのだが、はっきり言って“不気味”。背景もどこか退廃的な時代を象徴しているかのよう…。
平沢進氏による印象的な音楽と相まって、一度観たらなかなか忘れられない見事なOP(?)となっている。僕はもう病み付きになってしまったが。

ちなみに、8話・9話・10話では本筋から外れてエピソードが展開される。8話は自殺志願者のお話、9話は団地での主婦の井戸端会議がメインのお話、10話はアニメ制作の裏側的お話と、それぞれトリッキーな構成である。
個人的には8話がお気に入り。

妄想代理人』はかなりメッセージ性の強い作品だと思っている。例えば、現実逃避など所詮はその場しのぎに過ぎない、みたいな。
そして、不条理な現代社会、人間が抱く果てしない欲望や羨望とどう向き合って生きていくべきか。色々と考えさせられる。

最終回で一応物語は完結するが、多分一度観ただけでは全てを理解するのは困難だと思われる。実際、僕にもよく分からない部分がいくつかあるし。
繰り返し観て、この作品に対して自分なりの解釈をするというのも面白いと思う。

余談だけど、最初と最後でマロミ(重要な鍵を握るキャラクター)に対する捉え方が180度変わると思う。

お世辞抜きで9年前の作品とは思えないクオリティの高さに脱帽。素晴らしいアニメだった。

 

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